※ここではインタビュー対象者を「話者」、インタビュアーを「聴者」と表記して進めていきます。


インタビューに関するノウハウへの需要がどこまであるのか測りかねるのが正直なところですが、ある日突然「次の本を作るにあたって〇〇さんにインタビューしたい、できればそれを掲載したい」と思う日が訪れるかもしれません。そういうことにしといてください。



インタビューの手段

大別すれば対面式メール式かのいずれかになります。


対面式はレンタルスペースなどを使用、レコーダーに録音した内容を文字起こしする流れです。


メール式の場合はメール(あるいはチャットサービス)で文章をやり取りする方式です。


まず結論から言ってしまうと、推奨はメール式になります。


そもそも対面方式は物理的な距離、及び時間の制約に縛られますし、なによりテープ起こしの時間コストが致命的に高い問題があります。

※音声データをテキストデータに変換するアプリケーションもありますので、それ次第と言えなくもないですが。


メールは全体のログも追いやすく、文字起こしの手間もありません。また、資料にアクセスしやすいのもメリットですね。


ここまで書くとメール一択に思えてきますが、コスト面以外の差異についても触れておきます。


あくまで感覚的な比較になりますが、直接の会話によって面白い話に発展しそうな話者なら対面式、ブログなどを定期的に更新しており”考えて文章を書くことに長けている”話者にはメール式が適しています。


対面式はその場で直接向き合ってコミュニケーションを取るため、細かなニュアンスの確認や同意を得やすいメリットもあります。


補足として、ひとつのインタビューで対象が複数人いる場合や座談会として収録したいのであれば、チャットサービスが適切でしょう。



共通トピックと個別トピック

インタビューをする以上、聴者は話者の活動や作品にある程度は通じているわけですが、読者がそうであるとは限りません。自分が知っていることを相手が知っているとは限らない。これ、インタビューにおいて意外と見落としやすい視点です。


1. 共通トピック

まず、話者がどういう人物でどういった活動をしてきたのか、その背景を解き明かす必要があります。


創作を始めた契機、影響を受けた物・人といった質問は、話者の創作における背景を探る上で重要です。あるいはより普遍的な質問として、出身地の話題といったような一見無関係な内容であっても、そこから話題が繋がることもあります。せっかくのインタビューなので、思いついた質問は聞き得です。


2.個別トピック

続いて個別トピック。その人だからこそ聞きたい内容です。インタビューの肝ですね。


話者の活動や作品においてあなたが、そして読者が知りたいであろうことを聞き出していきましょう。


まず話題aを振って、それに対する返答にもう一段質問を重ねていくことでインタビュー全体の深度が増していきます。


そこから話題bに移って、同じように返答から話を繋げていきましょう。基本はその繰り返しです。


話題をどこまで掘り下げていけるか、これがインタビューのクオリティを左右します。



並べて、削って、組み立てて

インタビューの工程を終えて、文章として組み上げる段階まで来ました。


インタビューはとにかく聞いておくのが肝要になるため、ここからは削る作業も必要になります。

メール式なら話題が散らかることもなく進行しやすいので、削る作業自体が発生しないかもしれません。ここは全体の文章量から判断して調整していきましょう。


また、読みやすさを優先するために質問内容の順列を入れ替えるなど、ある程度は柔軟に対応することも大事です。



細心の注意を払うべきは文意である

こうなると残るは文章の編集・組み立てが主な作業となるのですが、ここで注意しなければならないこと、それが「文意を損なわない」ことです。


インタビューを公開するということは、話者の発言が記録として残るということです。文章上のニュアンスに齟齬があったがために、話者の意図しない内容を載せてしまう事態だけは避けましょう。


先述した質問内容の入れ替えについても、それによって文意が変わってしまうことのないよう注意してください。


インタビューでやり取りした文面に一切手を加えなかったとしても、文意の齟齬は起きる危険性があります。


完成稿の手前まで来たら、必ず話者に査読をしてもらいましょう。ここで修正箇所があれば直し、再び確認してもらって……を繰り返して、晴れて完成となります。



最後に

インタビューの動機はつまるところ「これを作ってるあなたの考えてることを知りたい」という欲求から生じているのだと思います。


実際、原稿として載せるためのインタビューをしていても、話者から話を聞いている過程そのものにも充実感を見出すようになりました。


作者、ひいては作品を広める意味でも、あるいはその作者を知るための資料的側面として、インタビューというものに興味を持っていただければ幸いです。